クラシックとワイン 愛の妙薬

愛の妙薬について

クラシックとワイン 2回目の投稿となります。
タイトルの愛の妙薬ですが、これはイタリアの作曲家ガエターノ・ドニゼッティ(1797~1848)が1832年に作曲したオペラのタイトルです。といってもこの曲についてはその中で歌われる有名なアリア、人知れぬ涙しか知りません。そしてそれも20年くらい前によく観ていた名曲アルバムで知りました。

といってもオペラのストーリーがよくわからないので少し調べてみました。
結論から言えばこの愛の妙薬はワインとなります。舞台は18世紀のスペイン国境に近いバスク地方。そこでアディーナという美女に思いを寄せるネモリーノですがなかなか思いを打ち明けられずやがて若い軍曹ベルコーレがやってきてアディーナは一目惚れしてしまい求婚に応じてしまいます。ネモリーノは愕然としてしまいますがそこへ飲めば必ず成就する愛の妙薬(という名の安いワイン)を売りつけるインチキワイン商ドゥルカマーラからそれを高値で買います。しかし薬の効き目はなかなか表れずそうこうしているうちにベルコーレとアディーナの結婚の話になりますが、実際にアディーナはその気になっていなく誓約までは至りません。ネモリーノはドゥルカマーラからもう一本薬を買おうとしますが、お金が足りず、仕方がないのでベルコーレの軍に入隊して給料を前借りして薬を買い飲み干しますが今度は効きすぎたせいか眠り込んでしまいます。しかし酔いから醒めると彼は伯父の娘たちから急にちやほやされて自信を取り戻します。本人は薬の効き目だと信じていますが、実際は伯父が亡くなりその巨額の遺産をネモリーノに相続することを娘たちが知っているからです。もちろんアディーナも急に有頂天になっているネモリーノを見て心中穏やかではありません。そしてそこへあのドゥルカマーラがやってきて彼はこの薬を買うために命を懸けて軍隊に志願したんですよという話を聴き、思わず涙を流します(人知れぬ涙)。それを見たネモリーノは好かれていることを知り、アディーナもベルコーレとの結婚を躊躇した理由は純粋なネモリーノに恋していたからだと思い、2人は結婚するわけです。それにしてもインチキワイン商のドゥルカマーラですが、結果的には大成功ですね。

人知れぬ涙について

というわけでストーリーを読めばわかる通り、この作品は喜劇なわけですが、この作品は全2幕で構成され、第1幕70分、第2幕50分となっております。そしてこの有名なアリア、人知れぬ涙は第2幕第8場で登場するため、まさにクライマックスのシーンにふさわしいものとなっております。オーケストレーションはかなり簡素で冒頭から現れるファゴットの音色が純朴なネモリーノを想起させます。この場面の演奏時間は4分程度ですからあまり長くありませんが最初短調だったのがやがて長調に転調するそういう意図的な面白さを感じます。もちろんオペラのストーリーを知らないままこの曲を聴けばネモリーノという純朴な男がある女性のことを想い泣いているんだなあと解釈してしまいますが、ストーリーを知ればこの涙はネモリーノが愛してやまないアディーナの涙なんだということがわかるわけです。

愛の妙薬という名のワインについて

最終的にはこのワインについて知りたいのですが、手掛かりは1832年初演 舞台はスペイン国境近くのバスク地方ですからボルドーワインじゃないでしょうか。それも安いタイプの。色はもちろん赤で。また1855年パリ万博の年にナポレオン3世による有名なボルドーワイン格付けが始まりますがそれとの因果関係はなさそうです。いずれにしても該当するようなワインの検索結果が表示されません。ただこのオペラのタイトルは秀逸ですね。

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