預言の自己成就

先日深夜のニュース番組で衝撃を受けました(以下引用)。

アメリカの大手金融機関2社が経営破綻してしまったのです。
その2社はシリコンバレーバンクとシグネチャーバンクでした。
シリコンバレーと言えばカリフォルニア州サンフランシスコにある多くのベンチャー企業が密集する地域ですが28兆円の負債を抱えていました。シグネチャーバンクはニューヨーク州に拠点があるそうですが14兆円の負債を抱えていました。いずれにしても2008年のリーマンショック以来だと言われています。

ではなぜ経営破綻になったのか?2つの大手銀行は多くの預金を投資に回していたそうですが利上げで証券価格が下落し、預金者が本当に大丈夫なのか?という不信感を抱き、結果相次いで取り付け騒ぎが発生し破綻となったわけです。ただ即座にアメリカのバイデン大統領は「預金は全額を保護する」と宣言しました。また政府は金融機関に1年間資金を貸し与える約束をしたそうです。

ニューヨーク証券取引所ダウ平均株価も74ドルに下落となり今後はリスク回避のためドルを売って円を買うことにより円高が加速するらしくその動向を注視する必要があると言っていました。

このニュースを聞いているともう25年前になりますが学生時代に多少なりとも影響を受けた社会学を思い出しました。その本がまだありました。

縮小サイズになってしまいました。命題コレクション 社会学(筑摩書房)です。

ある状況が起こりそうだと考えて人びとが行為するとそう思わなければ起こらなかったはずの状況が実際に実現してしまう 預言の自己成就 です。
とまあ分かる人はすぐに分かる、分からない人はいつまでたっても分からないという排他的な?印象を受けた学問でもありましたが、その具体的な例として1932年にアメリカで実際に発生した旧ナショナル銀行の破綻がありました。その内容は簡単に説明するとこうでした。ひょっとしたら近い将来あの銀行は潰れるかもしれない、と預金者の一人はそう思いました。すると瞬く間に他の預金者も同意し、結果多くの預金者が銀行に殺到し預金の取り付け騒ぎが発生してしまいました。そして結果銀行は倒産してしまいました。まさに今回の結果と同じです。またこの説を唱えたロバート・キング・マートン(R・K・マートン1910~2003)は新進気鋭の社会学者でしたが担当教官の溝部明男先生もぼくには新進気鋭の社会学者に映りました。といっても顔写真が探しても見つかりません。見た目の印象はメガネにひげ、髪はボサボサだったような、音楽家に例えるならビゼー(1838~1875)かシノーポリ(1946~2001)に似ているかもしれません。というわけで似顔絵の写真でちょっとした思い出を書いてみました。

西田 
西田

缶ジュースこんなにいっぱいどうするんですか?

溝部
溝部先生

いや前にうるさい連中がいるじゃん。これ飲んだら黙ってくれるかなと思って

溝部
溝部先生

あとあれだね。この大学は設備はいいんだけどさ、やり方がどうもね・・・・・下手

西田 
西田

1932年旧ナショナル銀行の、かしらどり(頭取)は。

溝部
溝部先生

それ、とうどり(頭取)です。

やはり新進気鋭の社会学者でした(アホ丸出しですね・・・恥っ!)。


ただ個人的にはドイツの社会学者マックス・ウェーバー(1864~1920)が唱えた、プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神に興味があります。かたい内容ですがほとんどの方が一度は耳にしたことのあるとても有名な説だと思います。平たく言えばこれはまさに宗教と経済の関係なのです。教会の聖職者たちは一心不乱に布教活動に身を捧げます。その結果、地位が上がり富が舞い込んできます。そうなるとこれまでつらい布教活動を行わなくても豊かなくらしができるわけですが、そうなると俗世の人々と同じ、つまり教義から外れてしまいます。そこで聖職者たちは富を投資に回し市民階級が向上し、拡大再生産につながり資本主義が成立したわけです。

とまあ、かなり飛躍した素人の見解を述べてしまいました。最後に

巻末に載ってました。当時はまだ48歳だったんですね。

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