没後35年の作曲家

昨日は20世紀に活躍したアメリカの作曲家ヴィンセント・パーシケッティ(1915~1987)の命日でした。フィラデルフィアに生まれフィラデルフィアに没したアメリカ人ですが、確か父親がイタリア人、母親がドイツ人だったので移民ですね。またラドウィッグというミドルネームがあるそうですが、このラドウィッグのスペルはLudwig、ドイツ人ならルートヴィッヒと発音するでしょう。それもそのはず母親の出身地がなんとドイツのボン。あのベートーヴェン(1770~1827)と同じなんです。

主な作品は交響曲、協奏曲、吹奏楽、室内楽、ピアノなどの器楽曲、合唱曲などもありますが、特徴的な曲のタイトルはセレナードとパラブル(おとぎ話、寓話の意味)じゃないでしょうか。このパラブルですが全25作ありメルヘンチックなそれではなく不可解きわまりない謎に満ちています。ただすごいのは20世紀の和声法という著書を著したり、ジュリアード音楽院の教授の傍らで実に多忙な中での作曲活動だったということです。

交響曲も何の因果か、あのベートーヴェンと同じの9曲。ただ有名なのは吹奏楽のための第6番ですね。もちろん吹奏楽部に3年所属したからと言ってパーシケッティの名前を知る機会があるかどうかはわかりませんが、多くの吹奏楽指導者がこの6番をバイブルのように扱ってるので吹奏楽ファンで知らない人はいないと言っていいでしょう。ただベートーヴェンとは違いCDは6番を除き入手困難(都内のタワレコ、HMVにもあるかどうか)です。1、2番はまず検索すら引っ掛かりませんし、9番(ヤニクルムの丘という標題があります)は動画だけ出てきます。ちなみに第5番は弦楽のための交響曲(5楽章、18分ほどで終わりますが、弦が牙を向いて襲い掛かってきます。とくに2楽章と5楽章ではまるで凶器のような扱いでジャン!とかズシャ!という刺される感じが味わえます)3,4番はプロコフィエフ(1891~1953)風、7番には典礼風という標題があり、8番は7番と似ている感じですが、どの作品も30分を切るという短さです(ex.ブルックナー(1824~1896)の交響曲第8番第1楽章=パーシケッティ第6番全楽章)。というわけでぼくの手元には3~8番までの6枚のCDの音源があるのですが、これらを日付の順に聴いています(ex.8月3日=3番、4日=4番、5日=5番、6日=6番、7日=7番、8日=8番、9日=7番(9番がないので下がります)、10日=6番、11日=5番、12日=4番、13=3番(ここから一の位が一致するわけです)、14=4番、15=5番・・・)。

では最後に写真(スクショですが)を貼り付けて終わりましょう。

グランドピアノに手を置いてドヤ顔ポーズ。今は亡きハネケン(羽田健太郎1949~2007)さんにも似ているような。

左上の左手をポケットに突っ込んで右手を机の上に置いている人物はブルース・ダフィというインタヴュアーらしいですが、
まるでパーシケッティが詰め寄られている感じですね。
「D おい、あの曲の件はどうなったんだ P まあまあ落ち着いて」みたいな。

と思ったら、今度は仲良く喫煙タイム。おそらく右の頭ツルツルでメガネを掛けた(といっても全員メガネですが)人物が先ほどのブルース・ダフィだと思います。

いや、三谷幸喜(1961~   )さんにも見えますかね。ここでふと「尊敬するがゆえにからかう」という言葉を思い出しました。あのMr.ビーンで一世を風靡したイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソン(1955~  )さんの名言ですが。ひょっとしたらパーシケッティの音楽もこれと同じかもしれません。