室内楽のすすめ

昨日はチェコの大作曲家 アントニン・ドヴォルザーク(1841~1904)の命日です。

いや、チェコのみならず今現在、国際的にも広く知られていてファンもたくさんいそうな感じですね。希代のメロディーメーカーともいわれ素晴らしいメロディが湯水のごとく溢れ出た方だったようです。主な代表作はなんといっても新世界交響曲(交響曲第9番ホ短調作品95 英名from the new world in e minor)、チェロ協奏曲ロ短調作品104(英名cello concerto in b minor)ですね。あとはスラヴ舞曲(英名slavonic dances)がありますね。2集からなる大作です。

もちろん上記はいずれもオーケストラ作品ですが室内楽作品にも珠玉の名作があるのがドヴォルザーク。弦楽四重奏曲第12番ヘ長調「アメリカ」作品96、ユモレスク作品101などはおそらく誰もが耳にしたことのある作品ではないかと思いますが個人的にはあまり知られていない弦楽四重奏曲第14番変イ長調作品105、ピアノ五重奏曲第2番イ長調作品81が大好きで、実は一番好きな室内楽作品がこのピアノ五重奏曲第2番だったりします。

さて、ここに3つのCDがあります。収録曲は先ほど紹介した弦楽四重奏曲第14番とピアノ五重奏曲第2番のみ。同じ曲じゃんだなんて思わないでください。演奏者が異なれば演奏も異なるようにいずれも甲乙つけがたい魅力が詰まっています。これまた個人的には左上のスメタナ四重奏団(スメタナQと略されることもあり一昔前に流行った?カルトQのクイズ番組を想起させます)が一番好きですが、その下の新星堂CDは20年前に確か香林坊大和の5Fで買ってよく聴いていた思い出があります。あとは右下のCDですね。昨日届きました。

もう20年前からプロアマ問わずオケのコンサートによく足を運びましたが本当は室内楽が好きだったんでしょうか?こんな本も買っていたのです。タスキに書かれたVn1+Vn2+Va+Vc=1という何やら意味深な?式とハイドンからラヴェルまでという文章が気になりますが、残念ながらドヴォルザークの作品は載ってませんでした。

それにしてもこれまたよく知られていることですがドヴォルザークは鉄オタと呼ばれるほどの鉄道マニアだったそうですね。そのせいなのか新世界の4楽章、つまりフィナーレですがまるで巨大な蒸気機関車が徐々に発車するような(テンポがだんだん速くなる)凄みを帯びた音楽に聴こえます。もちろん室内楽作品もご多分に漏れず例えばこのピアノ五重奏曲第2番にしても(第4楽章つまりフィナーレ)弦の刻みのような音形があたかも車輪の軋みのように聴こえ、合間に現れるピアノの打撃音が汽笛のように聴こえます。そして魅力的なメロディがいくつも顔を出し景色が移り変わります。もはやこれは車窓から見えるパノラマ、鉄道音楽ですね。

そして今年から好きすぎて店内BGMにもこのドヴォルザークのピアノ五重奏曲第2番イ長調作品81を取り入れるようにしました。ちなみに今年に入って聴いた日数は34日です。ひょっとしたら酒屋も書店や喫茶店(とくに老舗)と同じようにオーケストラ作品よりも室内楽作品のほうが合っているかもしれません。耳も疲れなくてすみますし。

ちなみにぼくの最も好きな室内楽作品はドヴォルザークのピアノ五重奏曲第2番ですが、オーケストラ作品は・・・画家マティスです。もちろん新世界交響曲もチェロ協奏曲も素晴らしいですよ。オーケストラもドヴォルザーク作品にしたいですがやはり画家マティスも素晴らしい。この作品について少なくとも言えることは20世紀に誕生した傑作の1つではないかと思います。また政治的な背景、歴史的な背景の上に成り立ち奇跡的に誕生した傑作ではないかとも思います。おっとこんなことを書くと画家マティスのことを書きそうになりますので今回はこのへんで。