マダム櫻子はマルゴー (Margaux)が大好き

昔、私がソムリエ協会の資格を取るため、ワインの勉強を地味に地味にコツコツやっていたとき・・・
もう無理か、一浪しているし姑が「これが最後、今年だめならあきらめてやめなさい!」とはっきり宣言され、今年でだめかもしれんと、心がくらーくなったとき、フランスのボルドーの地図をノートの端っこ、チラシの裏に書きまくり、何度気持ちを鼓舞してきたことか。

縦にガロンヌ、右横からドルドーニュ、この二つを合流させてジロンド川を書き、左にオーメドック。オーメドックの北から順にサンテステフ、ポーイヤック、サンジュリアンときてマルゴーなんだなぁ~。

マルゴー村のChマルゴーなんてボルドーワインのテッペン中のテッペン。ここへ4回も行ったなんて!!

勉強し続けてきてよかったぁ。「格付け」覚えられんわと、放り出さんでよかったぁ。
人生摩訶不思議、一寸先は闇、なんて・・・これは真実・・・でも闇ばかりじゃないんだなぁ~

人生って願えば叶う、成せば成る。成らずとも成してやるわいの気迫でピンチにはぶつかるがよろし。何とかなるものです。

で、Chマルゴー初回訪問年は1997年。この年の9月に生まれて初めてフランスに行きました。
飛行機内ではしゃぎ、パリではしゃぎ、TGVにはしゃぎボルドー入り。
鉄橋の下のガロンヌ川の濁流(茶色だよ)と、川幅の広さに、チラシのボルドー略図のガロンヌ川とのギャップのでかいこと。
ガロンヌ川、雄大です。知ってました?この川にも一年に一度海嘯が起こるんですよ。アマゾンのポロロッカ程大規模ではないけれど、ヨーロッパ内のサーファーが、てぐすね引いて待っているそうです。

このでかい川をドンと、街の右側にはべらかし、ボルドーの街はあるのです。

 

天然の良港で、世界遺産、月の港と呼ばれ大航海時代には、この川沿いに大型帆船がずらりと並び、貿易で栄えた街でもあります。現在かつての船主の事務所、食事の後は今風のレストラン、カフェ、お土産屋さんなどに化けて営業中。気のせいか、オリエンタルな雰囲気を感じさせるお店や色使いなどもあり、世界中の色んな文化が溶け合っている感じもします。ただし、日本とアジア各国との違いは大ゆるゆるです。

大都会で、おしゃれで、古い石の建造物と石畳だらけで、歴史と現代の豊かさと大自然が見事にマッチした異国です。

Chマルゴーは、この街の中心カンコンス広場から車で40分くらいのところにありまして、1997年9月のときには、午前11:00頃に到着。まだうっすらと霧が残る時間帯で11:30分を過ぎる頃には最高の天気で、どこまでも広がる青空のもとChのまわりの畑では、ぶどうの摘み取りの真っ最中

「良いワインは良いぶどうから」の言葉通りぶどうの一番大事な選果は、畑から。
このことをしっかり理解し、chマルゴーを誇りに思う

マルゴー村在住のおばちゃん達が、毎年摘み取りのお手伝いに入ってくれて全ての作業が終わりねぎらいの宴(聞くのを忘れたけどChマルゴー飲み放題なんかなぁ~気になる~~)が終わった後、ご褒美にパビヨン・ルージュを1本もらうそうです。

で、Chマルゴー

摘み取られたぶどう(写真はメルローです)を集め破砕機に入れる作業中
私おじさんたちに許可を得て(=アイ・コンタクトーこれって万国共通!)つまんで口に。
めッちゃ甘くておいしい!
と、ここでワインのぶどうの味を見るときは、実だけ食ってもわからんのだぞい!

口の中に入れて、上あごと下あごで皮もすり潰し、実の中の種は噛んで砕いて一緒にすり潰し、こうやって酸と、タンニン、アントシアニンのバランスを、みるのじゃぞ!
種をかみ砕くをアーモンドやみーなっつなどの香ばしいナッツの味と香りがすると超グッド!青臭い未熟な味が口中に残るものは超残念。良いワインになるには種もしっかり熟すことが大切!と、師匠に教わり、実地にやってみると・・・たまりまへん。ノンアルコールのワインですわ!!!

で、何だかんだで、セラーへ。
1Fの部屋には、その年仕込まれた樽を次の年のものが来るまで一年ねかせる。
その後は中2Fに移動。さらに翌年地下1Fに。

贅沢なことに私は、1996年のワインと1995年のワインをピベットで、樽からくみ上げたものをティスティング。
現在の市場末端価格なら2本で40~50万ちゅうとこかな。

お上手はいいません。感動のみ。
憧れのchマルゴーのセラーで樽からのchマルゴーを飲んだ!!!
この事実に酔いしれてました。

タンニンのパワフルさに口中真紫。
震える手にこぼしたのか、スワリングが超ヘタクソでこぼしたのかグラスを持つ指も真紫。
が、何度も大事に大事にグラスを回して、味わって、おりますと少しずつタンニンの厚みがうすらいで、フッとワイン本来の味わいをのぞかせてくれる。

そんな時があり、Chマルゴーの片鱗に触れた、本体を感じた気がして、ゾクゾクっとしたものです。
余韻が長くアフターテイストも最高で、ベビーながらあっぱれ!!!

若くてもタンニンの質が、キメが細かいからなのかおいしく飲み干してきました。
かくしてChマルゴーは、樽から生ずるタンニンのコートで、保護され、ゆっくりじっくりスーパーレディに成長するのであります。

Chマルゴー、フランス人の魂のワイン。さすがでございます。

この経験から、Ch訪問時には、朝食のバケットを2~3個カバンにしのばせティスティング時のお歯黒対策に
使用することとなりました。どこのシャトーもティスティング時にはパンまでだしてくれまへん。

私のセラーには1970年(大阪万博開催の年、よど号ハイジャック事件、クロネコのタンゴ♪なんぞのあった年)のchマルゴーを筆頭に1979年、1994年、1995年、1998年、1999年、2000年と、在庫しておりましたが、現在は1979年、1998年、1999年のみとなりました。

眺めているだけでも楽しいワインです。この写真撮っといてよかったぁ~

2000年以降とにかくグラン・ヴァンの価格が高騰。手に負える額ではありません。

Chマルゴー、マロニエの並木道の突き当りのゴージャスな門。そこが思い切り開かれ、さあどうぞと招き入れてくれた1997年身の丈以上の果報なひと時に感謝です。